OM用水中ハウジング


OM−2N用水中ハウジング

現在OM用水中ハウジングは市販されていません。 ニコンやキャノン等大手一眼レフメーカーのAF機用水中ハウジングは市販されていますし、 最近ではデジタルカメラが一般化しアクセサリーとして水中ハウジングも用意されており、簡単に水中撮影ができるようになりました。

私と同じ勤務先のH.Mさんは1992年頃にOM−2N用水中ハウジングを特注で製作して活用していました。  OM用水中ハウジングは過去にも使用例がきわめて少なく、この情報がこのまま埋もれてしまうのはもったいないと考えH.Mさんに情報公開をお願いして、ここでその構造等を紹介することにしました。
H.Mさんは大のオリンパスファンでOM以外にもペンなどを数多く所有しているレンジファインダー カメラファンでもあります。

以下は、H.Mさんからの寄稿です。 コメントは引用させてもらいました。

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このハウジングについて

1992年頃に東京中野にあったDIV(株)という所で作ってもらいました。 10mmのアクリル板で作られています。
現在DIVの所在地は池袋のようです。 “DIV”で検索できます。
ここはダイビングで使う映像機器のハウジングをオーダーメイドで作ってくれます。
その当時、ハウジングの主流はF801やEOSkissなどで、それらは各ハウジングメーカーにすでに出来合いの物が多数ありました。  OM用ハウジングも大昔に存在したらしいですが、このAF時代でMF機のハウジングは見かけなくなりました。  OM−2N用ハウジングは約1ヶ月かかり、T32のハウジングを含めて8万円前後でした。

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OM−2Nの改造とハウジングの使い方

まず、OM−2Nの改造から。 ボディは中古屋で8Kくらいのジャンク品扱いのものを使用しました。
ハウジングは水没する危険性が必ずあるため、ボディも安いものにしたわけです。
ところがまったくの問題なしBODYで今日まで使用してます。
狭いハウジング内で動けるように巻き上げレバーを半分切断しています。  巻き戻しクラッチ前面“R”を左に倒すレバーはハウジングに装着すると指がとどかなくなり、横に倒せないため棒をつぎ足しています。
露出補正ダイアルに出っ張りをだして、外からの操作用つまみに連動させています。

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レンズ関係

21mm F3.5と50mm F1.4(銀縁)の2個を改造しています。
ピントリングには、バリのありそうな所に使うギザギザのプラスチックを裏返しにして貼り付けています。  ここにハウジング側の円柱部(レンズ部)で、上から見て左にあるつまみがピント用で、ここの歯車にこのギザギザがかみ合うことになります。 (この方式ですと50mm F3.5マクロレンズはピントリングが上下するためギヤから外れて不向きと言われました。)
絞りは先ほどの円柱部右にあるつまみで操作します。 このつまみは回転はもちろん左右(レンズに対して前後)に動き、先端部にはゴムが塗ってあって、 ここがレンズの絞りリングのすべり止めの部分(ざらざらしてる所)を動かして絞りを変えます。  通常はF8にセットして取り付けていました。

海の中は太陽光が入ると思ってるよりも明るくなり、OM−2Nの露出計針は1/60を軽く超えてします。当然T32は発光しないため出来上がった写真は自然光だけのものになります。
ストロボを発光させないと、とても自然な感じでいいのですが水中に入ると、赤系の色が失われブルー一色となり、時にはメリハリのない仕上がりになります。  又、発光させると、水中の失われた色がストロボによって復活しますが、ストロボの光に反射された水中を漂う浮遊物が輝きゴミの様写ってしまいます。
それぞれの特色を生かしてストロボの操作をしています。

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T32関係

T32の操作はON/OFFSWだけなので、モードはAUTO位置にしていました。
4本の信号線は防水コネクタ経由でOM−2Nへ行きます。
浅い海岸付近ではT32は不要な為、コネクタで切りはなしをします。
ここのコネクタで接触不良が一度ありましたが、水中では抜き差しできないためその時のストロボ発光はあきらめました。  そのためOM−2Nハウジング側で簡単にT32を発光させられる様にレンズ絞りを動かすつまみに連動したマイクロSWを追加し、それをONさせてT32を強制発光させ、導通の確認をすることにしました。

 

このハウジングを使用して撮影した作品

メキシコ ラパスにて (カリフォルニア半島の先端付近)

ここにはアシカ、アザラシ、イルカなどが数多く生息していて私は鯨も見てしまいました!
また、ここはコロラド川がら流れてくる川の水が豊富な生態系を作り、クジラはここで子供を産み北へ帰るそうです(?)  数多くのアシカの中になぜかアザラシが1頭まじっていて、とても人なつこかったです。
アメリカ人ダイバーが背中に乗って遊んでました。
ストロボを使うと、浮遊物が写ってしまいました。  逆に雰囲気がでて、それはそれでいいと思います。
いずれも21mm F3.5での撮影です。 

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沖縄は慶良間にて

21mm F3.5と50mm F1.4を使い分けました。 
50mmでの魚はクマノミで、最短距離50cm(くらい)でした。 マクロが欲しいと感じました。
21mmで半分水中、半分地上の写真がありますが、水との境界線のシャッターチャンスが難しく何枚も失敗しました。  21mmで撮ったのを見ると四隅が流れているのがわかります。 レンズの前に“水”というレンズを付けたのと同じで、この収差をなくすためにドーム型のポートというのがあるらしいですが、とても高価のようです。

          

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このハウジングの寿命は約10年で、やはり最近になってあちこちにヒビがはいってきました。
私もダイビングを卒業したため、もうハウジングを使うことはありませんが、このハウジングを見るたびに、夢中になって魚を追い求めシャッターを切ってた頃を思い出します。

そしてなによりも、大好きな"OM"を海の中で駆使できたこと、水深30メートルの世界を "OM"と共に見ることが出来て、本当に幸せだったと思っています。

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以上、H.Mさんからの寄稿でした。                     2002年 4月20日


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